ペットと法律

動物愛護の基本
 動物の愛護及び管理に関する法律が示すもの
 動物に寄り添う動物愛護法
 5つの自由
 飼い主に守ってほしい7か条
動物愛護法の関係法令
 法令の体系
 動物愛護法関係法令体系

動物愛護の基本

動物の愛護及び管理に関する法律が示すもの
動物の愛護及び管理に関する法律とは
 1973(昭和48)年9月に「動物の保護及び管理に関する法律」として制定された、動物愛護に関する基本となる法律です。 この法律は、1999(平成11年)12月に「動物の愛護及び管理に関する法律」と名称変更されました。このとき、動物取扱業の規制、飼い主責任の徹底、虐待や遺棄に関わる罰則の適用動物の拡大、罰則の強化など大幅な改正がありました。動物の愛護及び管理に関する法律以前の法律(前述)の通称は「動管法」といっていましたが、法律の名称が変更となってからは、「動愛法」、「動物愛護法」または「動物愛護管理法」と呼ばれるようになりました。 2012(平成24年)9月には更に大規模な改正が行われ、動物取扱業の適正化、終生飼養の明文化、罰則の強化など、動物に寄り添った法律となりました。 次に、2012年に動物愛護法の内容がどのように変わったか、その一部をご紹介します。

第1条(目的)

(目的)
第一条 この法律は、動物の虐待の防止、動物の適正な取扱いその他動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする。


(目的)
第一条 この法律は、動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取扱いその他動物の健康及び安全の保持等の動物の愛護に関する事項を定めて国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資するとともに、動物の管理に関する事項を定めて動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害並びに生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的とする。

第2条(基本原則)

(基本原則)
第二条 動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。


(基本原則)
第二条 動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。
2 何人も、動物を取り扱う場合には、その飼養又は保管の目的の達成に支障を及ぼさない範囲で、適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。

第6条(動物愛護管理推進計画)
旧(動物愛護管理推進計画)
第六条 都道府県は、基本指針に即して、当該都道府県の区域における動物の愛護及び管理に関する施策を推進するための計画(以下「動物愛護管理推進計画」という。)を定めなければならない。
2 動物愛護管理推進計画には、次の事項を定めるものとする。
一 動物の愛護及び管理に関し実施すべき施策に関する基本的な方針
二 動物の適正な飼養及び保管を図るための施策に関する事項
三 動物の愛護及び管理に関する施策を実施するために必要な体制の整備(国、関係地方公共団体、民間団体等との連携の確保を含む。)に関する事項
3 動物愛護管理推進計画には、前項各号に掲げる事項のほか、動物の愛護及び管理に関する普及啓発に関する事項その他動物の愛護及び管理に関する施策を推進するために必要な事項を定めるように努めるものとする。
(本条第4項以下省略)


(動物愛護管理推進計画)
第六条 都道府県は、基本指針に即して、当該都道府県の区域における動物の愛護及び管理に関する施策を推進するための計画(以下「動物愛護管理推進計画」という。)を定めなければならない。
2 動物愛護管理推進計画には、次の事項を定めるものとする。
一 動物の愛護及び管理に関し実施すべき施策に関する基本的な方針
二 動物の適正な飼養及び保管を図るための施策に関する事項
三 災害時における動物の適正な飼養及び保管を図るための施策に関する事項
四 動物の愛護及び管理に関する施策を実施するために必要な体制の整備(国、関係地方公共団体、民間団体等との連携の確保を含む。)に関する事項
3 動物愛護管理推進計画には、前項各号に掲げる事項のほか、動物の愛護及び管理に関する普及啓発に関する事項その他動物の愛護及び管理に関する施策を推進するために必要な事項を定めるように努めるものとする。(本条第4項以下省略)

第7条(動物の所有者又は占有者の責務等

(動物の所有者又は占有者の責務等)
第七条 動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者としての責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。
2 動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物に起因する感染性の疾病について正しい知識を持ち、その予防のために必要な注意を払うように努めなければならない。
3 動物の所有者は、その所有する動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置として環境大臣が定めるものを講ずるように努めなければならない。
(本条第4項以下省略)


(動物の所有者又は占有者の責務等)
第七条 動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。
2 動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物に起因する感染性の疾病について正しい知識を持ち、その予防のために必要な注意を払うように努めなければならない。
3 動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物の逸走を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
4 動物の所有者は、その所有する動物の飼養又は保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(以下「終生飼養」という。)に努めなければならない。
5 動物の所有者は、その所有する動物がみだりに繁殖して適正に飼養することが困難とならないよう、繁殖に関する適切な措置を講ずるよう努めなければならない。
(本条第6項以下省略)

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動物に寄り添う動物愛護法
 現行の動物愛護管理法では、「遺棄の防止」、「動物の健康及び安全の保持等」、「生活環境の保全上の支障を防止し、もつて人と動物の共生する社会の実現を図る」、「適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保」、「災害時における動物の適正な飼養及び保管」、「動物の愛護及び管理に関する責任」、「生活環境の保全上の支障を生じさせることのないように努める」、「動物の逸走の防止」、「動物がその命を終えるまで適切に使用すること(終生飼養)」、などが加わり、罰則も強化されました。
 我が国の動物愛護管理法では、2012年の改正でようやく動物に寄り添うことが緒についたところですが、国際的には「5つの自由」という考えが広く知られています。
5つの自由
Five Freedoms
The welfare of an animal includes its physical and mental state and we consider that good animal welfare implies both fitness and a sense of well-being. Any animal kept by man, must at least, be protected from unnecessary suffering.
We believe that an animal's welfare, whether on farm, in transit, at market or at a place of slaughter should be considered in terms of 'five freedoms'. These freedoms define ideal states rather than standards for acceptable welfare. They form a logical and comprehensive framework for analysis of welfare within any system together with the steps and compromises necessary to safeguard and improve welfare within the proper constraints of an effective livestock industry.
1. Freedom from Hunger and Thirst - by ready access to fresh water and a diet to maintain full health and vigour.
2. Freedom from Discomfort - by providing an appropriate environment including shelter and a comfortable resting area.
3. Freedom from Pain, Injury or Disease - by prevention or rapid diagnosis and treatment.
4. Freedom to Express Normal Behaviour - by providing sufficient space, proper facilities and company of the animal's own kind.
5. Freedom from Fear and Distress - by ensuring conditions and treatment which avoid mental suffering.

The origins of the Five Freedoms
The concept of Five Freedoms originated with the Report of the Technical Committee to Enquire into the Welfare of Animals kept under Intensive Livestock Husbandry Systems, the Brambell Report, December 1965 (HMSO London, ISBN 0 10 850286 4). This stated that farm animals should have freedom “to stand up, lie down, turn around, groom themselves and stretch their limbs,” a list that is still sometimes referred to as Brambell’s Five Freedoms.

As a direct result of the Brambell Report, the Farm Animal Welfare Advisory Committee (FAWAC) was set up. This was disbanded at the same time that the Farm Animal Welfare Council (FAWC) was established by the British Government in July 1979, with some common membership. One of these bodies started to list the provisions that should be made for farm animals in five categories, which also became known as the Five Freedoms (despite the fact that not all the categories were actually freedoms). Records from FAWAC are not readily available so the exact origin is not clear, and the earliest written reference we can find is the enclosed press notice (PDF 550KB) released by FAWC in December 1979.

The concept was subsequently refined by FAWC so that it actually took the form of five freedoms. It has since been further updated and is now the most visited page on the Council's Website.”

連合王国政府 Farm Animal Welfare Council の文書を抜粋

解釈の便宜上、Web上の機械翻訳での仮訳を掲載します(訳文の不完全さについてはご容赦ください)。

1.飢えと渇きからの自由 - 完全な健康と活力を維持するための清潔な水と食事が得られること。
2.不快感からの自由 - 雨風炎天を避ける屋根・囲いや快適な休憩場所を含む適切な環境が与えられること。
3.痛み、傷害または病気からの自由- 予防または迅速な診断と治療が受けられること。
4.正常な行動を表現する自由 - 正常な行動を表現することのできる十分な広さが与えられ、同種の仲間とともに、あるいは単独での生活ができること。
5.恐怖と苦痛からの自由 - 精神的な苦しみを取り除くか軽減するようにすることを保証すること。
(高橋輝仮訳)
飼い主に守ってほしい7か条
1. 適正飼養・終生飼養
  動物の習性等を正しく理解し、最後まで責任をもって飼うこと
2. 迷惑防止
  危害や迷惑の発生を防止すること
3. 防災
  災害に備えること
4. 繁殖制限
  むやみに数を増やしたり、繁殖させないこと
5. 感染症対策
  動物による感染症の知識をもつこと
6. 逸走の防止
  動物が逃げたり迷子にならないようにすること
7. 所有者の明示
  所有者を明らかにすること

(『動物の愛護及び管理に関する法律のあらまし』平成24年度改正版,環境省自然環境局総務課動物愛護管理室,2015,p.8-9.)

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動物愛護法の関係法令

法令の体系
 動物愛護法関係法令についてご紹介する前に、 法令の体系についてご説明します。上記が法令体系図です。

憲法
 憲法は、国のすべての法令の最上位にあります。憲法の枠を超えて、どのような法令も制定することはできません。
条約
 条約は、国家間、あるいは国家と国際機関との間で締結されるものです。効力は憲法と法律の間となります。
法律
 法律は、憲法の定める方法で、国会での審議と議決を経て制定されます。
命令
 命令は、行政府が定めるもので、「政令」、「府省令」、「告示」などがあります。政令は、内閣が制定する命令です。「〇〇法施行令」という名称が多いです。府令は、内閣総理大臣が制定する命令です。この場合は内閣府令となります。省令は、各省の大臣が制定する命令です。「〇〇法施行規則」という名称が多いです。命令は、法律で、「〇〇については政令(または省令や告示)で定める」などと記述され、法律が委任している命令という意味になります。
地方公共団体の条例、規則
 地方公共団体(都道府県、市区町村)が、議会の審議と議決により制定するものが条例で、その地方公共団体でのみ適用されるものです。地方公共団体の規則は、知事や市長、教育委員会などが定めるものです。
動物愛護法関係法令体系
法律
 動物の愛護及び管理に関する法律
政令
 動物の愛護及び管理に関する法律施行令
省令(環境省令)
 動物の愛護及び管理に関する法律施行規則
命令(環境省告示)
 第一種動物取扱業者が順守すべき動物の管理の方法等の細目
 第二種動物取扱業者が順守すべき動物の管理の方法等の細目
 特定飼養施設の構造及び規模に関する基準の細目
 特定動物の飼養又は保管の方法の細目
 家庭動物等の飼養及び保管に関する基準
 展示動物の飼養及び保管に関する基準
 実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準
 動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置
 犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置
 動物の殺処分方法に関する指針
 動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的指針
命令(総理府告示)
 産業動物の飼養及び保管に関する基準

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